承前、その2「謎の稲荷と雑司が谷の旧家を訪ねる」
一行は、お穴の鬼子母神、神田久保(窪)から
北へと崖を上る。
撮影 金子佳代子
こうした地形がこの辺りにはそこかしこにある。
坂上にあがると、
さっきまで居たお穴の鬼子母神の杜のけやきが美しく眺められる。
また、さらに上がる。
神田久保よりも10m以上は上がっただろうか。
雑司が谷独特のぐるぐる回る迷路の先に
今度は少し下がった南面した土地が出てくる。
そこに次の目的地の謎の稲荷があった。
崖の下に祠が建っている。
しかし、これでも弦巻川の流れや神田久保よりはずっと高い位置にはある。
この稲荷が謎なのは、
地域の人たちも余りその存在を知らず、古地図にも古文書にも該当記載が無く、
今も名前すらない。
御屋敷の中にあった屋敷稲荷だったのかもしれない。
ただ、注目したい事は、
この崖状の地形である。
金山稲荷にしても、そうだが、
崖状の所には、水が出たり鉱物が出たりする。
特に、ここは、この稲荷の祠を要として扇型に土地が拡がっている。
こうした場所が、先の弦巻川沿いの神田久保と同じように
農耕に適していたことは間違いない。
南面したこの土地は、崖から湧いた水を利用して、
稲作などをするには恰好の地だった。
南面、崖、扇状地とその要にある稲荷は、まさに
中世まで遡る古い農耕の記憶を留めている。
扇状ひ拡がる土地の先の方は、かつての保育園の園庭で、
なぜか未だにそのまま放置されている。
以前はこの園庭で、園児たちが田植えもして稲を作っていたのだが、、、
親子の愛らしいおきつね様。
今回のチラシに使わせていただいたのは、実はこのおきつね様だ。
大分ひびも入っている。
石仏をウオッチしている私の直感だが、
このお顔はそんなに新しいものではないと思う。
江戸末期くらい迄は遡れるかも知れない。
狭い土地だが、手水鉢もある。
まちあるきの時にはご指摘出来なかったが、
この手水鉢にある紋は、日蓮の家紋井桁橘。
この辺りは、ほとんどが日蓮宗のお寺なので、
どこかの寺院から拝借しているのか、
それとも関係のあった寺院が、
江戸期まではこのお稲荷を管理していたのかもしれない。
どちらにしても、
様々な想像を巡らせることの出来る
興味深いお稲荷さんだ。
そのお稲荷さんを後に一行は、
雑司ヶ谷霊園のすぐ南までくる。
長い生け垣に囲まれた広いお庭のある旧家に着く。
雑司が谷の家々の特徴は、
このように今でも生け垣だったり、
お花の植木鉢をお家の周りに置く家が多いことだ。
こうした住民の思いが、街を生き生きとさせている。
ここは、この辺りで江戸時代から代々続いている方の御屋敷だ。
生け垣の先に瀟洒な木造の門があり
中に入ると広いお庭を通って
格子戸で出来た母屋の玄関に到る。
かつての雑司が谷にはこういう御屋敷が沢山あったのだろう。
中に入れていただく。
お茶とお菓子までご用意してくださり、喉を潤しながら、
お話しを伺う。
撮影 金子佳代子
床の間や、今では決して見かけないような太い大黒柱が立派だ。
障子の格子なども繊細に造られている。
それもそのはずでこの屋敷は
明治30(1897)年頃に、今の霊園の敷地内から建物ごと移築したそうだ。
簡素ながらも美しい木がふんだんに使われた
江戸時代の村屋敷の名残が感じられる。
雑司ヶ谷霊園は、幕府のお鷹部屋の跡地に造られたとされているが、
お鷹部屋は、今の霊園の北西の一部からさらにその北側にあった。
霊園敷地の南より、東よりの部分には
雑司が谷の旧家の屋敷が建っていた。
その証拠に、今でもよく見るとけやきの並木などが直線に並んでいる所がある。
これはかつての屋敷林の後である。
その後、霊園は明治期、大正期に拡張され
今の規模になっていった。
撮影 金子佳代子
お家の方が、天保年間から書き継がれている
古い書き付けを見せてくださる。
今の霊園内にあった以前の屋敷地が3000円で東京府に買われたことや、
旧宣教師館に住んでいたマッケーレヴにも土地を貸していたこと、
雑司が谷に住んでいた昭和初期の首相濱口雄幸の土地も、
ここの家の先祖が貸していたことなどが記されているという。
大変興味深いお話しと資料だった。
ありがとうございました。
その後、一行はこの御屋敷がかつて建っていたという
雑司ヶ谷霊園の一画に向かう。
新緑が美しい
その2「謎の稲荷と雑司が谷の旧家を訪ねる」篇 終わり
つづく
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